新規構造を有するポリ塩化ビニルの重合 Projects TOP
 
   ポリ塩化ビニルはもっぱらラジカル重合により合成されている。塩化ビニルのラジカル重合における特徴として、
 ?@モノマーとして反応性は低いが、その成長ラジカルは極めて高反応性である。
 ?Aモノマーへの高い移動反応 [連鎖移動定数(Cs) = 12.3 ´ 10-4 (50 °C)]< /SUB >
 ?B ?Aにより、生成ポリマーの分子量に上限がある(Pn < 2000)
 このような特徴を持つため、ラジカル重合により得られるポリ塩化ビニルでは主鎖中に正規構造以外の不規則構造が導入されてしまう。



   これらの異常構造は熱的に不安定な原因となる。主鎖が制御されたポリ塩化ビニルは耐熱性の向上が期待され、加工時における重金属の使用を低減できると期待されている。このことは低環境負荷型のポリ塩化ビニルとされることからも重要な課題であり、それに挑戦している。
 我々は異常構造をなくす方法として、塩化ビニルのイオン重合法を開発し、さらに、メタロセン触媒による塩化ビニルの重合について検討し、立体規則性ポリ塩化ビニルの合成が可能かについて研究を行っている。




アルキルリチウムによる塩化ビニルの重合

 これまで、塩化ビニルモノマーのイオン重合は触媒とモノマーが反応することから困難とされてきた。しかし、t-BuLiのようなアルキルリチウムを用いた塩化ビニルの重合からは、熱安定性に富む主鎖構造が制御された、正規構造のみからなるポリ塩化ビニルが合成できることが明らかとなり、その重合はリビング的であり、分子量制御も可能であることを見出した


ハーフメタロセン触媒系による塩化ビニルの重合

  メタロセン触媒は配位子の設計により立体規則性ポリマーの合成が可能であり、極性モノマーの重合においても有効であるとされている。しかし、塩化ビニルをモノマーとする重合はほとんど研究されていない。この規則性ポリマーはエンジニアプラスチックの可能性を秘めている。そこで、右に示すようなアルコキシ配位子を持つハーフチタノセン触媒を中心として塩化ビニルから立体規則性ポリマーの合成が可能かについて研究を行っている。

  現在、これらの重合法による大量製造の研究を企業と共に推進しており、次世代塩化ビニル産業の創出を目指している。
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